【旬のうまい魚を知る本】 >
▼「生きているのを焼くとうまいよう」

ところが、捨てる神もいれば拾う神もいる。「タカノハダイはうまいよう」という浜からの声もある。伊豆半島や房総半島の海女たちだ。アワビやサザエ、イセエビなど、ご馳走を毎日のように食べている彼女たちの証言だから、これは信用できる。食べ方が面白い。海女たちは海でひと仕事を終えると、焚き火で体を暖める。この火に生きているタカノハダイを放り投げて、真っ黒に焼き上げる。この焦げを落としながら、白い身にかぶりつく。「こうすると、ほかの魚とまけないよう。臭いのは死んだタカノハダイを食べるからですよう」。
![]() | 東京書籍 (著:東京書籍) 「旬のうまい魚を知る本」 JLogosID : 14070424 |