【旬のうまい魚を知る本】 >
▼島名物のわっぱ煮で体も心もポッカポカ

今の粟島では、漁師でなくても食堂や民宿で気軽にわっぱ煮を楽しめる。老漁師に「あそこのわっぱ煮はうまいよ」と教えられたのが粟島内浦港に近い食堂兼民宿「みやこや」。作ってくれたのは主人の本保清春さん。漁師でもあり、大胆かつ豪快な漁師流だ。
作り方は今も昔もたいして変わっていない。下ごしらえした魚を半焼きにする。魚と味噌をわっぱに入れて熱湯をそそぐ。さらに真っ赤に焼いた小石を火ばさみで1個ずつ入れる。4個めの石で汁がぐらぐらと煮えたぎり、湯気がもうもうと立ち昇る。そこに小口切りの青ネギを多めに散らしてできあがりだ。
すっかり漁師気分であつあつの汁をすすりこむ。魚の旨味がしぼりだされていて、なんともいい味に仕上がっている。「うちの味噌は自家栽培した大豆で作った自家製三年ものだよ」。わっぱ煮にはアイナメなど鮮度バツグンの磯魚だけでなく、うまい味噌もミソなのだと知った。
![]() | 東京書籍 (著:東京書籍) 「旬のうまい魚を知る本」 JLogosID : 14070322 |