【旬のうまい魚を知る本】 >
▼村のマダラ料理はエラまで利用する

脇野沢村の代表的なマダラ料理はじゃっぱ汁であろう。これには頭や中骨、ササメ(エラ)、肝から、包丁でぬめりをこそげとった胃袋までも利用する。輪切りのダイコンと胃袋をあらかじめゆでておき、肝はすり鉢ですりつぶしておく。鍋に湯を沸かし、材料を入れてほぼ煮えたところで味噌を溶き入れる。アクをていねいに取り除き、小口切りの長ネギを浮かせてできあがり。「馬の息でも煮える」から、味噌を加えてからはあまり煮ないのがコツだ。胃袋や肝、エラなどの渾然と入り混じった味が、穏やかに調和する鍋の秀作である。
![]() | 東京書籍 (著:東京書籍) 「旬のうまい魚を知る本」 JLogosID : 14070309 |