【旬のうまい魚を知る本】 >
▼最大飛行距離600メートル!

トビウオの語源は誰でも思いつく通りの「飛ぶ魚」。単にトビと呼ぶ土地が多く、九州や日本海沿岸などの範囲ではアゴと呼ばれる。夏に漁船に乗っていると、海面から飛び出たかと思うと、あれよあれよというまに十数メートルも飛んで、再び海中に突進するトビウオをよく見かける。
この魚をよくよく観察してみると、いかにも飛ぶのに都合のよい体にできている。胴は円筒形で細長く、胸ビレは著しく後方に伸び、広げるとヒレというよりまるで鳥の羽根だ。尾ビレは上葉にくらべると下葉が長く伸び、ジャンプするのに便利になっている。内臓が小さくて軽いことも、長く飛行できる一因だ。
いよいよ飛ぶときは全速力で助走し、スピードがのって体が海面から出ると、尾ビレで連続して海面をたたき空中に浮く。同時に胸ビレを左右に大きく広げて浮力をつける。多くは海面から40~50センチの高さを飛ぶが、数メートルの高さがある甲板に飛び込んでくるときもあるとか。飛行記録は時速60キロ、距離400メートルとも、600メートルともいわれる。
![]() | 東京書籍 (著:東京書籍) 「旬のうまい魚を知る本」 JLogosID : 14070128 |