ワイシャツ
【わいしゃつ】
そもそもはスーツを汚れさせないための下着
ビジネスマンの制服でもあるスーツ。スーツの下にはワイシャツを着て、そのワイシャツの下に下着を付けるのが一般的だが、この習慣は実は現代人がつくりだしたものである。その昔、ヨーロッパの人々がスーツを着るようになった一八~一九世紀では、ワイシャツはスーツの下に付ける下着だったという。そういえば、ワイシャツの裾の形は、脇の部分より、中央部分に行くにしたがって長くなっている。中央部分が垂れ下がるように長くなっていて、気にして見ると、必要以上に長い気もする。外に出して着るタイプのシャツと違って、ズボンのなかに納めるようしてに着るスーツ用のワイシャツは、ほとんどがこの形になので当たり前だと思っているが、これにはちゃんとした理由がある。ヨーロッパの人々はパンツを身につける習慣がなかったため、ズボンをはくとき、直にスーツが汚れてしまわないように、下着として、ワイシャツが着られるようになったのだそうだ。だから、下腹部を前後から包むように中央部分が長いというわけだ。ウエストからシャツがはみ出さないように長くなっているわけではないのである。襟元や袖口にも同じことがいえて、スーツを体の汚れから守るようにつくられた下着の役割を果たしている。京都にある京都服飾文化研究財団には、一八?一九世紀に実際に着用されていた男性のシャツなどが保存されているが、確かに正面と後の裾すその部分には変色してシミのようなものができているという。やはり下着をつけずに、シャツの裾をその代用としていたことの証明といえよう。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820975 |