ラッコ
【らっこ】
貝割りで使ったお気に入りの石は、実は自前のポケットにしまっておく
ラッコといえば、水にぷかぷかと浮かびながら仰向けになり、器用にお腹の上で貝を割って食べる姿が思い浮かぶ。貝を割るには、お腹に石を乗せておき、その石に貝をぶつけるのがラッコ流だが、この石には秘密がある。ラッコにとって貝を割るための石は、板前の包丁のように大事なもので、自分専用なのだ。そのためラッコは、左わき腹のたるんだところに、この石を入れて、肌身離さず持っている。そして、エサを見つけたらすかさず、わき腹から取り出して貝を割る。ラッコのなかには、このように石をいつも持ち歩くのが面倒くさいと思うものもいるようで、その場合はわざわざ陸のお決まりの場所にきちんと置いておくという。そして、エサを見つけると、陸地に石を取りに行き、それから貝割り作業にとりかかるようだ。ちなみに、ラッコの愛くるしい姿から想像すると、小さな貝をもぐもぐと食べているように思いがちだが、好物は贅沢にもウニやカニ、アワビと、とてもグルメなのだそうだ。また、ラッコはもともと欲張りなのか、石だけでなく、わき腹のたるみをポケットにして、何でもしまいこむクセがある。ある実験によると、ラッコに次から次へとアサリを与えてみたところ、二〇個以上もそのポケットにしまいこんだという。そのほか、お気に入りの石やアサリなどのエサだけでなく、貝の破片などを自前のポケットに入れているラッコもいたという報告もある。こうなると、とにかくなんでもかんでもしまえるものは自分の体のポケットにしまってしまうのが、ラッコの習性ともいえそうだ。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820939 |