ボタン
【ぼたん】
シャツのボタン合わせが男女逆である納得の理由
和服は男女の区別なく右の身頃が下になる襟の合わせだが、洋服になると、男性は右身頃が下にくる合わせで、女性は右身頃が上になった合わせである。左利きを差別するわけではないが、普通に右利きの人がシャツやコートを着てボタンをかけようとすると、右手にボタンを持って左のボタンホールに通すほうがやりやすい。つまり、男性の合わせのほうが理にかなっている。上着の内側に隠しポケットをつけるにしても、左胸のあたりにつけておけば、右手を滑り込ませやすい。では、なぜ女性の洋服は逆になっているのか。実はこれ、一説では、中世の頃に由来がさかのぼるという。当時、ボタンつきのシャツなどという手の込んだ仕立ての服は、限られた上流社会の貴婦人しか着ない高価なものだった。そんな貴婦人は、洋服を自分で着ることなどなかった。ただ突っ立って、メイドや小間使いといった使用人に着せてもらっていたのである。着せる役目をする小間使いにとっては、左身頃にボタンがついているほうが着せやすかったというわけだ。ちなみに、女性の合わせが逆になっているのは、男性のためだという説もある。女性のシャツのボタンをはずして、するりと脱がせやすいからだというのだが……。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820814 |