ヘミングウェイ
【へみんぐうぇい】
でっち上げの武勇伝が好きな大作家
アーネスト・ヘミングウェイの最期は、猟銃による自殺という唐突なもので、まるで自身の小説を地でいくような生涯となってしまったが、生前の彼が語った様々な体験談もまた、小説同様に脚色された部分が多いという。とくに第一次世界大戦での戦争体験は、ほとんどがフィクションの世界だといわれている。たとえばイタリア軍第六九歩兵連隊に混じって三つも大きな戦闘に出会ったといっているのだが、本当のところ彼は非戦闘員で、実際の戦闘経験はないに等しい。それなのに、精鋭のアルディティ連隊に所属していたといってみたり、グラッパ山ではその連隊を先導して、その最中に敵に攻撃されて重傷を負ったなどとも友人に語って聞かせている。なんらかのケガを負ったことだけが事実なのだ。また、スペイン戦争での友人には、歩兵中隊を指揮したといったり、わずか一九歳で歩兵大隊を指揮したと臆面もなく語る。誰が聞いてもホラとわかるようなことを、とくとくとしゃべるのが好きだったようだ。彼が戦争を語るときは、ちょうど自分の小説を語り聞かせるような気分だったのだろう。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820799 |