ハット・トリック
【はっととりっく】
一試合で三得点をあげたら、どうして「帽子の奇術」?
「ハット・トリック」とは、サッカーやホッケーなどで、一人の選手が一試合に三得点することをいう。なぜそれを「ハット・トリック(帽子の奇術)」というのか。それはこの言葉がクリケットの試合で使われたことに由来する。一三世紀頃、イギリスで発祥したといわれるクリケットは、一一人編成の二チームが、ボールをバットで打って得点を争う野外競技で、野球のルーツともいわれている。イギリス発祥のスポーツであるため、インド、パキスタン、バングラデシュ、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカなど、かつてのイギリス勢力圏を中心に普及している。さて、このクリケットはたいへんな高得点ゲームである。一人の打者(バッツマン)が二〇〇点、三〇〇点と得点することもある。だから、投手(ボウラー)が打者を無得点に打ち取ることはかなり困難なことなのである。そこで一回の中で三球で三人アウトにすると、記念に真新しい帽子を贈られた。ハット・トリックは、もともと一八八〇年代に人気を博していたシルクハットを使う奇術のことで、その奇術の鮮やかな手並みにたとえて、クリケットでの偉業を「ハット・トリック」と呼ぶようになったという。そして、これがサッカーやホッケーでも、一試合に一人で三得点することは簡単ではないので使われるようになったわけだ。ちなみに、サッカーのハット・トリックの連続世界記録は、ゴン中山こと中山雅史が一九九八年に記録した四試合連続。これはギネスブックに載っている。また、モータースポーツでも、一つのグランプリにおいてポールポジション獲得、決勝レースでのファステストラップ記録、優勝の三つを成し遂げることをハット・トリックと呼ぶ場合があるという。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820707 |