ネギ
【ねぎ】
ネギの葉と茎の境は、いったいどこにある?
関東と関西の違いでよく例に挙げられる話題の一つとして、うどんのつゆの濃さがあるが、薬味として入っているネギもまた、ずいぶんと違っている。一般に関東では白い部分が長くやや太いものを、関西では青い部分が多く細いものを使うようだ。人によっては、この白い部分を茎、青い部分を葉だと思っていることがあるが、実はそうではない。ネギの茎の部分はごく短く、葉に包まれるように隠れているので、普段私たちが意識することはほとんどない。通常は調理する際に根を切り落としてしまうが、その部分を縦に切ってみると、真ん中にタケノコのような芯があるのがわかる。これが茎で、そこから葉が一枚一枚生えている。ちなみに、ハクサイやキャベツ、コマツナなども同じ構造で、一見茎がないように見えるが、葉と根の間にごく短い茎がある。ネギの葉の白い部分は葉鞘部といい、相互に密に重なり合って茎のようにまっすぐに伸びる。その先は葉身部といい、なかは空洞の円筒状になり途中から折れ曲がってしまう。葉鞘の部分が白い根深ネギは、生育に合わせて土寄せして、日が当たらないようにして育てる。寒冷な気候が適しているため、関東や東北、北陸、北海道などで多く栽培されている。それに対して関西では、葉身部が発達した緑色の強い九条系の品種が多く栽培されている。ネギの原産は不明だが、おそらく中国の西部であると考えられている。栽培は二〇〇〇年以前よりはじめられ、中国では漢民族が原始時代より栽培していたといわれている。ヨーロッパでは一六世紀の文献に出てくるのが最初で、アメリカには一九世紀になってから紹介されている。日本にいつ頃伝わったかははっきりしないが、『日本書紀』にすでに「秋葱」という文字が出てくることから推測すると、ずいぶん古くからあったのだろう。もっとも、当時は食べ物としてよりも、薬や神事や祭事に使う供え物としての役割のほうが多かったようだ。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820671 |