夏みかん
【なつみかん】
「夏」みかんが出回るのは、なぜ「春」か?
夏みかんの旬は五、六月である。夏といえば普通七、八月だが、どうして夏より早い時期に出回るみかんに「夏みかん」という名前がついているのだろう。普通、みかんの収穫時期は冬から春先だが、本格的な冬になってから収穫するのでは、もし雪が降ったりすれば実が凍ってしまい、だめになってしまう。そこで、一二月下旬から一月頃に収穫をしてしまい、熟して果実の酸っぱさがなくなるのを待ってから出荷する。夏みかんは、ほかのみかんと比べて酸味がとても強い品種のため、普通のみかんのように早くに収穫したのでは酸味が抜けない。そこで、早く収穫するのではなく、熟して甘くなって食べ頃を迎える初夏まで待つ。だから「夏みかん」と呼ばれるようになったのである。ところが、現在では品種の改良が進み、昔のように酸味の強い夏みかんはほとんどない。そのため、早い時期に収穫し、熟成させるようになった。そこで、市場に出回る時期も早くなり、最盛期が夏ではなく、晩春から初夏にかけての五、六月頃になったというわけだ。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820642 |