トルコ石
【とるこいし】
トルコで採れないトルコ石
美しい青色が特徴的な「トルコ石」。その青が黄金をより美しく引き立たせるため、トルコ石は金細工の財宝や装飾具に使われてきた。紀元前三〇〇〇年頃の古代エジプトの墳墓からトルコ石が発掘されているから、かなり古くから使われていたことがわかる。また、中米アステカやミシュテコの遺跡からもトルコ石は発見されている。繁栄と成功を象徴するとされるトルコ石は、災難から身を守ってくれる護身石として、また、最愛の人の危機や不貞を色の変化で知らせるものとして、いまも人々に信じられている。ラピスラズリとともに一二月の誕生石として知られるトルコ石だが、実はトルコではまったく採れない。トルコ石の多くは、古くからイラン(ペルシャ)とシナイ半島で産出されている。では、なぜトルコでは採れないのに「トルコ石」と呼ばれるようになったのだろう。どうやらその鍵は、隊商のルートにあるらしい。その昔、アジアや中近東などの物産は、トルコを経由してヨーロッパへと渡っていた。ペルシャ特産のトルコ石もこれらの産物と同様に、トルコを経由して運ばれていたために、ヨーロッパで「トルコ石」と呼ばれるようになったようだ。トルコ石は、ターコイズとも呼び、その色が濃青色のものほど価値が高い。また、褐色や黒い色の網目模様のあるトルコ石は「ネット」と呼ばれ珍重される。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820626 |