東京タワー②
【とうきょうたわー】
地図記号は五重塔と同じ
東京タワーを地図記号であらわすと高塔になる。高塔は、読んで字のごとく、高い塔であることを示す地図記号で、寺院の五重塔なども同じ記号であらわされる。東京タワーと五重塔では、高さといい、外観といい、似ても似つかないが、ただ一つだけ共通点がある。それは観光施設である点だ。実は、(財)日本地図センター発行の『地形図図式の手引き』によると、その建物が観光の目的を兼ねる場合は、すべて高塔としてあらわすことになっている。そのため、電波塔である東京タワーも、札幌の時計台も、そして法隆寺の五重塔も、すべて高塔の記号になる。寺院の五重塔は、かつては「梵塔」という別の記号であらわされていたが、地図記号の簡素化にともない、東京タワーなどと同じ高塔記号であらわされるようになった。ちなみに、東京タワーと五重塔には、高塔記号以外にも不思議な接点がある。東京タワーの構想を練っていた前田久吉は、せっかく高い塔を建設するのなら、人の度肝を抜くようなものにしたいと考えた。しかし、三〇〇メートルの塔を建設することは可能ではあるが、非常に困難な挑戦でもあった。そのとき、「京都東寺の五重塔建設だって、当時は至難の業だったに違いない。しかし、それを立派にやり遂げた日本人がいたのだ」と勇気づけられ、「必ずできる」と決心したのだとか。そういう意味では、東京タワーは現代の五重塔のようなもの。地図記号が同じなのも納得できるかもしれない。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820600 |