大仏
【だいぶつ】
大仏が「パンチパーマ」になった理由
大仏を見て、あの髪型はまるでパンチパーマのようだと感じる人も多いだろう。イボのように幾重にも重なって大きく膨らんださまは、穏やかな顔の大仏とはミスマッチな感じがする。仏像がつくられはじめたのは、一世紀後半のインドだが、初期の仏像はあのような髪型ではなかった。パンチパーマのような髪型になったのは、三世紀後半になってからのこと。この独特な髪型を、仏教用語では「螺髪」と呼ぶ。では、なぜ大仏の髪型が螺髪になったのだろうか。一説には、あの髪型は、釈迦の髪型を模写したものという。釈迦の頭は、坊さんのような剃髪ではなく、三?四センチほどの長さがあった。釈迦はこの短い髪の毛を一本ずつ右方向に巻いてウエーブをつくっていた。その雰囲気をそのまま再現したのが螺髪であるという。仏像は釈迦の姿を写したものだから、筋は通っている。ただし、それではなぜ三世紀以降の大仏から螺髪になったのかは説明できない。もう一つの説では、あの螺髪は後世の人々の想像の産物であるというものだ。仏像は釈迦の姿を模したものだが、釈迦は悟りを開いた人で、人間であっても人間ではない。そのような「似て非なるもの」といった思いが、大仏の髪型を凡人とはまったく違う形にしたのではないだろうか、というのである。それなら、後になって大仏の髪型が変化したのも納得できるというものだが、どちらの説が正しいのかはわかっていない。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820514 |