大学
【だいがく】
「○回生」の呼び名は、京都大学がはじまり
大学の学年といえば、一年生、二年生、三年生と数えていくのが普通だが、関西の大学では、一回生、二回生ということが多いのはなぜだろう。京都大学で使われはじめ、関西の大学全般に広がっていった可能性が高いようだが、その根拠はこうだ。東京帝国大学(現・東京大学)が一八八六(明治一九)年に定めたカリキュラムは、学年ごとに履修する「学年制」だった。一方、一八九七(明治三〇)年創立の京都帝国大学(現・京都大学)は、卒業までに一定の科目数を履修すればいい「科目制」を採用した。科目制が一般的なドイツの大学に留学した経験を持つ教授が多かったため、この制度を取り入れたようであるが、東大への対抗心のようなものもあったのかもしれない。初代京大総長が学年制を採用しなかった根拠を述べた文書が残っている。曰く、「一人前の年齢の学生に向かって、時期を定めて学科を限って、小中学のように指導する必要があるだろうか。これが本学の設立にあたって年級制度(学年制)を廃した理由だ」と。さて、現在の各大学の正式な学年制度はどうなっているのだろうか。関東のある国立大学の教務課によれば、学年の呼び方というのはあくまで通称であり、正式な文書として学生の在籍年数をあらわすには、入学年度を記すことで対応しているという。関西のある国立大学でも同様で、正式文書に一回生、二回生といった表現はなく、たとえば、「二〇〇七年度入学者」という表現になるという。いまでもやはり、関東では一年生、二年生、関西では一回生、二回生と呼ばれることが多いものの、どちらも在籍年数をわかりやすくするための、いわば「通称」にすぎない。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820506 |