シンデレラ
【しんでれら】
数百種類もある、いじめられっ娘の成功物語
女の子なら誰でも一度は憧れるシンデレラ。どんなにつらいことがあっても、最後は王子様が迎えにきて、幸せな結婚をすることができるという「妄想」を持っている大人の女性も少なくないだろう。しかし、驚くべきことに、本来のシンデレラ物語は、かぼちゃの馬車も、代名詞であるガラスの靴すら存在しないという。より原話に近いといわれているグリム童話には、「シンデレラ」さえ登場せず、名前は「灰かぶり」である。もともとシンデレラの物語は民間伝承で、現在おもに語り継がれているものは、フランスのシャルル・ペローによる創作である。彼は昔話を集めて再話していたのだが、このシンデレラの物語もそのなかの一つで、かぼちゃの馬車もガラスの靴も彼が考え出したものなのだ。ペローのシンデレラとグリムの灰かぶりでは、その内容は大きく違っている。たとえば、王子様が持ってきたガラスの靴を履くシーンで、シンデレラのほうは、むりやり足を押し込んでいたがサイズが合わず、あっさり玉の輿をあきらめている姉たちが描かれている。しかし「灰かぶり姫のものがたり」(大久保ゆう訳)によると、灰かぶりでは、王子様のお妃にするために母親は姉たちに、「いいかい、靴がきつかったら、このナイフで足を少し切り落としておしまい」といい、姉たちは母親のいいつけ通り、靴からはみ出たかかとを切り落とそうとする。そして、かかとの骨に何度もナイフがつかえてしまうため、彼女たちは左右すべての指を切り取ったという設定になっている。また、シンデレラでは、最後に謝罪する姉たちを快く許し、身分の高い貴族と結婚させてあげているが、灰かぶりでは、姉たちがハトに目を突き出され、両目を失ってしまうという結末になっている。グリムの灰かぶりのほうがより原話に近いといわれているが、果たして原話はどんなものなのだろう。数百種類もあるといわれる物語だけに、それにたどり着くのは困難だろう。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820451 |