ジレンマ
【じれんま】
「ジレンマ」は二枚、「トリレンマ」は三枚の板の「板ばさみ」
二つの事柄の間にはさまれて、どうにも動きがとれなくなることは誰にでもあることだろう。一つの問題に対して同時に二つの答えが目の前にある場合、それらが互いに矛盾し受け入れがたい状態であることを「ジレンマ」というのだが、この言葉はもともとギリシア語から生まれたものである。それは、「ジ(二重の)レンマ(仮定事項)」という意味で成り立っている。この言葉が日本以外にも世界中で引用されるようになったのは、矛盾し受け入れがたいものが世の中にあふれているからだろう。ところが、近年では二つの事柄だけでなく、一つ増えた「トリレンマ(三重苦)」や、さらにもう一つ増えた「クアトリレンマ(四重苦)」という言葉も使われはじめている。トリレンマについては、一九七〇年以降の「インフレ」「失業」「国際収支赤字」に直面したアメリカをあらわすのによく使われ、現在は、「経済の発展」「資源、エネルギーの確保」「環境の保全」はそれぞれ対立しているため、同時に達成はできない「トリレンマ問題」としてよくとりあげられる。さらに身近な例としては、「リストラ」「仕事量増大」「賃金は上がらない」というサラリーマンにも当てはまろうか。クアトリレンマは、前述した内容をさらに複雑にしたものであるが、さしずめ中国の言葉でいうなら「四面楚歌」という状態だろう。しかしながら、ジレンマだけで間に合わなくなったのは、世の中が複雑になったのが原因といえるのだろうか。それとも、決断力のない人間が増えてきたからなのだろうか。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820436 |