自殺率
【じさつりつ】
自殺率ゼロの国
日本では、交通事故で亡くなる人よりも自殺する人のほうが多いといわれている。WHO(世界保健機関)の二〇〇二(平成一四)年の統計データによると、日本の自殺率は人口一〇万人当たり二三・八人で、先進国のなかではトップ(ワースト)である。一方で、世界には自殺率が極端に低い国もある。一九八〇年以前の統計だが、統計上は自殺率がゼロという国があった。ヨルダン・ハシミテ王国である。この国の自殺率が低いことの背景には、イスラム教と大家族制があるといわれる。イスラム教の教えでは、神から授かった命を粗末にすることは許されない。また、日本のような核家族は少なく、大家族で暮らしているため孤独感にさいなまれることが少ないという。そのうえ、日本のような高齢化社会とは違い、六五歳以上の高齢者が少ないのも背景の一つのようだ。国民性も陽気で楽観的だといわれている。陽気な国民性というとラテン系を想像するが、実際ラテン系の国々の自殺率も比較的低いのだ。しかしながら、自殺率ゼロの幸せな国だったヨルダンも、最近では事情が多少変わってきているという。パレスチナ難民が急増しており、難民のなかには、生活の苦しさに耐えかねて自殺する者も出てきたようだ。もっとも、日本に比べると、一〇分の一にも満たない数字ではあるようだが……。ちなみに二〇〇三年の統計上の自殺率トップ(ワースト)はリトアニア、二位はロシアとなっている。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820378 |