自殺者
【じさつしゃ】
自殺者は、なぜか月曜日に多い!?
アメリカでおこなわれた中高年の自殺に関する研究では、血中のコレステロール値が高いと自殺のリスクは高くなるという。少し前に盛んにいわれた説である。日本では多少は回復傾向はあるものの、依然として続く社会不安や格差社会の到来で、弱者の立場はさらに弱くなり、中高年の自殺者も残念ながらあまり減ってはいないようだ。二〇〇五(平成一七)年に厚生労働省が発表した統計報告では、自殺者が最も多いのは月曜日で、週末になるにつれて減るという。男性は早朝、女性は正午頃に多いことも判明した。これは、ここ数年の自殺の増加傾向を受け、なんとかそれを食い止めようと政府が調査を開始した結果である。現在、国内では年間に約三万人もの自殺者が出ているが、厚生労働省では、「自殺者の心理状況を知る手がかりなどに利用し、今後の予防策につなげたい」と、自殺のあった曜日や時間帯などにも分析の手を広げたのである。調査は、過去最多となった二〇〇三(平成一五)年の国内の自殺者三万二一〇九人について、自殺時の状況などが調べられた。曜日別の自殺者数では月曜日が最も多く、一日平均で男性八〇人、女性二七人。最も少ないのは土曜日で男性五三人、女性二一人だった。さらに男性は午前五時から六時頃が最も自殺の多い時間帯で、女性は正午頃が多く、時期としては四月、五月に自殺者が集中しているという。その理由を精神科医の香山リカ氏は、読売新聞紙上(二〇〇五年一月二九日付)で、月曜日や年度初めに件数が多いのは、会社や学校などの社会生活がはじまるということに強いプレッシャーを感じている人が多いからと述べている。通勤する場所がない、通学することができないなどの理由のある人は、周囲がスタートを切る時期にひどく落ち込むようだ。男性に月曜日の自殺者が多いのは、女性よりも男性のほうが、より社会的な失敗や失意が自己否定につながり、月曜日の朝が来る前に自殺を図ってしまうのではないかとも述べられている。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820377 |