ジグソーパズル
【じぐそーぱずる】
裁断に使われる刃が職人仕様である納得の理由
ジグソーパズルは、一八世紀にイギリスの地図メーカーによって売り出されたのがはじまりである。当初は、板に図を描き、ジグソー(糸のこ)を使って手作業でその曲線を切っていき、一つひとつの木片(チップ)にしていた。名前の由来はそこにある。いまでは板が厚紙となり、チップが一〇〇〇ピースを超えるような大作もつくられるようになっているが、実はこの厚紙のジグソーパズルも、その裁断には高度な技術を要する。普通に考えれば、パズルの絵の大きさに合わせて縦横に刃のついた裁断機で一気にプレスして型抜きすればすみそうである。ところが、この方法だと、カットされたラインが曲線のため、プレスした刃を持ち上げると、刃と刃の間に紙片がはさまってしまうことがあるのだ。これを一ピースずつ手作業で外すというのはたいへんな手間だし、チップも紛失しかねない。そこで、縦だけに裁断する波形の刃、横だけに裁断する波形の刃の二種類を使って二度の型抜きがおこなわれている。これで行方不明のチップを一つも出すことなくパズルが完成する。さて、その裁断の主役となる波形の刃は、一つひとつが職人によって手づくりされているものが多い。コンピュータ製図で機械生産すれば簡単に多くの種類ができそうなものだが、それではチップ一つひとつの微妙な曲線が出ず、場合によっては同じ形のチップができてしまうからだ。ジグソーパズルのチップの曲線には、実は職人熟練の技が生きているのである。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820374 |