魚釣り
【さかなつり】
オリンピック種目に、かつて「魚釣り」があった!
一八九六年にギリシアのアテネで開かれた第一回オリンピックの実施競技は八競技、四三種だった。その後、一〇〇年以上の時を経て同地で開かれた、二〇〇四年のアテネ大会での実施競技は二八競技三〇一種目まで増えていた。これが二〇一二(平成二四)年に開催予定のロンドン大会では、野球とソフトボールが除外されることが決まっており、二六競技に数を減らして実施される予定となっている。実施競技については第一回大会から現在まで存続しているものもあれば、途中で除外されてしまったもの、または一回しかおこなわれなかったものなど、様々な歴史がある。一回しかおこなわれなかった競技には、一九〇〇年のパリ大会で実施された「魚釣り」「ハト撃ち」「乗馬で走り高跳び」「乗馬で走り幅跳び」といったものがある。魚釣りは二日間の釣果の重量を競ったという。ハト撃ちは射撃競技の一種目だったが、動物虐待という非難の声が高く、一度きりの開催となった。乗馬で走り高跳び、走り幅跳びというのは、それぞれ馬に乗った状態でどれくらい高く、またはどれくらい遠くまでジャンプできるかを競ったようだ。いずれも人馬ともに非常に危険ということで、一回で姿を消した。複数回おこなわれたものの、途中で姿を消してしまった競技には、「綱引き」「芸術競技」といったものがある。綱引きは第二回のパリ大会から一九二〇年の第七回アントワープ大会まで正式競技としておこなわれていたが、ルールが国によって違うなどの理由で廃止されてしまったという。芸術競技は一九一二年の第五回ストックホルム大会から一九四八年の第一四回ロンドン大会まで、やはり正式競技としておこなわれた。この競技には絵画、彫刻、建築、文学、音楽の五種目があり、それぞれスポーツをテーマにつくった作品を評価し、順位をつけるという形で競われた。これは古代オリンピックの精神に則り、「オリンピックは肉体と精神の向上の場」とされていることと、オリンピック提唱者のクーベルタン男爵の意向もあって競技として開催されたとされる。審査が難しいなどの理由で正式競技からは姿を消した後、第一五回ヘルシンキ大会以降は、文化プログラムとして芸術作品の展示がおこなわれている。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820344 |