ガウディ
【がうでぃ】
神の家の建築家は、神を信じていなかった!
建築家ガウディの代表作といえば、スペインのバルセロナで現在も建設が続けられているサグラダ・ファミリア大聖堂だろう。同聖堂が着工されたのは一八八二年。翌年に辞任した初代の主任建築家の後を受け継いだガウディは、まだ三一歳の無名の建築家だった。ガウディは設計を一からやり直し、その後の人生をサグラダ・ファミリアの設計・建築に捧げた。生涯独身を貫いて、ひたすら同聖堂の建築に没頭したのである。四二歳のときには、キリストの故事にちなんで四〇日間の断食を決行。死に瀕し、その後のガウディは、建築以外には興味を持たない苦行者のような建築家となった。サグラダ・ファミリアはいまも建設が続けられており、完成は一〇〇年後とも二〇〇年後ともいわれている。晩年は「神の建築家」とも呼ばれ、信仰心の篤い建築家として有名なガウディだが、本来の彼は、かなりの快楽主義者だったようだ。小学校時代のガウディが最も苦手だった科目は「宗教」で、こまごまとした理論は大嫌い。建築専門学校でも授業をしょっちゅうサボり、成績もいま一つ。建築家になって贅沢ができるようになると、上等な服を着て、高級レストランを渡り歩き、仲間と酒を浴びるほど飲むこともしばしばであった。酒のニオイをプンプンさせて現場に駆けつけたことすら珍しくないという。まさに、有頂天になった若者が世俗的にして通俗的でわがままな人生を送っていたといっていい。サグラダ・ファミリアの主任建築家になった当初も、「『神の家』である教会の施主は『神』だ。俺は神を信じていない」といい、どのように建築していけばいいのか悩んでいたようで、信仰心からは程遠い場所にいたのである。家族の度重なる不幸や、聖職者たちとの出会いにより信仰心に目覚めたガウディ。神の建築家も、若い頃は迷える子羊だったようである。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820150 |