蚊
【か】
夏の嫌われ者は、ビルの何階まで飛行可能なのか?
緑色の渦巻きからゆるく立ち上る煙と、周囲に漂うほのかな青臭い香り。蚊取り線香は日本の夏の風物詩だが、幼児やペットがいると、火は危険、煙にむせる、ニオイがダメという家庭もある。そんな人向けに電気で薬品を温めて蚊を退治するというものも開発され、商品として主流になりつつある。ただ、そんな製品を買わなければならないのは、一戸建ての持ち家に恵まれている人、あるいはマンションの二階か三階までで生活している人だ。蚊は体重がせいぜい二?二・五ミリグラムしかなく、一秒間に五二〇回以上の羽ばたきをして、だいたい時速二キロ前後で飛行している。蚊がそばに来るとブ?ンと聞こえるのは、この羽ばたきの音だ。軽いボディでそれだけの羽ばたきをするのだから、蚊は風が苦手だ。室内では扇風機の風、エアコンの吐き出す風程度でも吹き飛ばされてしまう。空中の高い場所では風圧で流されやすくなり、自力で飛べるのはビルの二階か三階程度の高さが限度である。それでは、ビルやマンションの高層階では蚊はまったく見かけないかというと、そうでもない。一階ロビーからエレベーターに乗るとき、なかに紛れ込んだり、たまたま人間の服に止まっているときにその人がエレベーターに乗ったなどの理由で、上層階まで運ばれることがあるからだ。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820142 |