オリンピック①
【おりんぴっく】
「参加することに意義がある」が生まれた背景は?
古代ギリシアのオリンピア祭での競技大会にならって、四年に一回開かれる国際競技大会、オリンピック。第一回大会は一八九六年にギリシアのアテネで開かれた。参加国・地域は一四、参加人数は二四五人、開催種目は八競技・四三種目だった。開催された八競技のうちの一つに競泳がある。ただし現在のようにプールでおこなわれたのではなく、ゼーア湾という海で開催された。競泳がプールでおこなわれるようになったのは第四回のロンドン大会からで、それまでは海以外にも川や湖といった自然のなかでおこなわれていた。プールと異なり、海などでは水の流れがあるため、タイムを競うのではなく、単純に着順で競われていたのも特徴だ。ちなみにロンドン大会からはじまったこととして、オリンピックへの参加が各国のオリンピック委員会を通じておこなわれるようになったこと、国旗を先頭にした各国の入場行進がおこなわれるようになったことも挙げられる。それまでは個人名義で出場することができたため、複数の国出身の選手が集まった混合チームというものも存在していたという。また「参加することに意義がある」という名言が生まれたのもこの大会。陸上四〇〇メートル決勝で、アメリカ人選手がフライングしたと判定されたことを不服とし、アメリカのほかの決勝進出選手全員が出場をボイコット、イギリス人が一人で走るという事態が起こり、両国の関係に暗雲がたちこめた。アメリカ選手団に随行していた、ペンシルバニア大司教のエチュルバート・タルボット司教がこれを憂いて、「オリンピックで重要なのは勝利することよりむしろ参加したことであろう」と説教したという。オリンピックの提唱者であり、当時のIOC会長でもあったクーベルタン氏がこれに感動。オリンピックの精神としてこの言葉を引用して演説した結果、現在まで語り継がれることとなった。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820139 |