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雑学大全2娯楽 > 映画

小津安二郎
【おづやすじろう】

ファッションにこだわった巨匠

小津安二郎は日本が世界に誇る映画監督の一人である。一九〇三(明治三六)年、東京深川に生まれた彼は、一九二三(大正一二)年、叔父の伝手で撮影助手として松竹キネマ蒲田撮影所に入社。助監督を経た後、一九二七(昭和二)年、時代劇『懺悔の刃』で監督デビュー果たす。彼は六〇歳で逝去するまで、五四本の作品を監督した。また戦後は、脚本家・野田高梧と組み、神奈川県茅ヶ崎市の旅館・茅ヶ崎館で脚本を執筆。中流家庭を舞台に親子の関係や人生の機微を描いた『晩春』『麦秋』『東京物語』といった名作を次々に発表し、国内外で高い評価を得、日本映画の巨匠となる。独特のローアングルを磨き上げた映画監督としても知られ、またセリフのリズム、役者の演技にも独特のリズムがあった。スタイリストの原由美子氏によると、彼のスタイルは、ファッションの好みにも息づいているという。男の俳優に着せる服は、四人集まれば四人とも白シャツベスト。兄と兄嫁が並んで歩けば、どちらも白いブラウスフレアースカート。後ろからだと区別がつかない。普通はバランスをとって違う模様にするのだが、小津監督の好みのコントロールがとても強かったという。彼は、原節子にさえ、「女の人にはこうあってほしい」という格好をさせ続けた。『晩春』や『麦秋』でも白いブラウスに黒スカートワンピースでも白い襟のとてもいいものだったという。しかし、原節子で確立したはずのファッションも、岸恵子の登場で変わってくる。『早春』ではプリントワンピースを着せており、最後のシーンでは黒いブラウスに、下はペチコートをはいたような広がりのあるプリントスカートだった。また、ピクニックシーンでは、裾に別布がついた七分丈のズボンをはかせている。スタイルバツグンの彼女だから「この人だけはいい」と許したのだろうか。岡田茉莉子になるともっと大胆になる。『秋日和』ではなんと、下着が透けて見える透かし編みのモヘアセーターを着ているのである。彼女の父親である岡田時彦が小津監督と昵懇だから、融通がきいたのかもしれない。しかしながら、小津監督自身こよなく愛したのは、あくまで白いカッターシャツであったという。




東京書籍 (著:東京雑学研究会)
「雑学大全2」
JLogosID : 14820126

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編集:東京雑学研究会
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