絵の具
【えのぐ】
チューブ入りの絵の具ができる前は、ブタの膀胱に詰められていた!
絵の具のチューブが登場したのは一八四一年。ロンドン在住のアメリカ人画家、ジョン・G・ランドが発明した。これに大喜びしたのは印象派の画家たち。それまでの絵の具はなんとブタの膀胱に詰められていたのである。使うときには針などで穴を開けなくてはならなかったという。一度開けてしまったらふさぐこともできず、持ち運びには不向きの代物だった。一九世紀後半に、モネ、ルノアールなどによってフランスで生まれた印象派絵画は、物から受けた印象を主観のままに描くという画法で、日本の浮世絵からも強い影響を受けたとされる。大きな特徴の一つに、光のとらえ方がある。そのため画家たちは、より光の動きや色合いが鮮やかである戸外へ出かけ、光のなかで絵を描くことを好んだ。そこで活躍したのがチューブ入りの絵の具だったというわけだ。絵の具は、色のついた粉末である顔料と、顔料の粒子を分散して物に固着させるための媒材である展色剤からできている。水性絵の具の展色剤に使われるのは、アラビアゴム、にかわ、石灰水、卵などだ。展色剤に卵やハチミツ、にかわなどを使ったものは水性とはいえ、乾燥すると溶けなくなるという特徴がある。油性絵の具の展色剤としては乾性油、樹脂、ロウなどがある。そのほかの絵の具では、展色剤の代わりに結合剤としてアラビアゴムなどを用いて棒状にしたパステルなどがある。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820107 |