ビール①
【東京雑学研究会編】
§水よりもビールをたくさん飲めるのはなぜか?
夏の夕暮れ、仕事を終えた人々がビアガーデンにあつまってくる。大きなジョッキになみなみとつがれたビールを、ぐっと飲み干している人々の楽しそうなこと。テーブルの上に大ジョッキが次々と並べられていく。
ところで、水をあれだけ飲めと言われたらとても無理だが、ビールだと難なく入ってしまう。これは一体どうしたことだろう。
水とビールは同じ液体でも、体内で処理される方法が異なっているからである。水もビールもいったん胃の中に入り、そこにためられるところまでは同じであるが、その後が違っている。
水は、胃ではあまり吸収されず、少しずつ十二指腸から小腸、大腸へと流れていく。吸収されるのは、小腸と大腸の間の腸壁からだけなのである。
一方、ビールのアルコールは、腸壁だけでなく胃壁からも吸収され、このとき同時に水分も吸収される。だから、アルコールは水に比べて、吸収のされ方が格段に早いのである。胃の中にたまらないので、どんどん飲めてしまうというわけ。
しかも、アルコールは、炭酸ガスや砂糖を含むと、吸収が早くなる性質がある。おまけに、アルコールの利尿作用で、すぐに排泄される。ビールを飲んでは、頻繁にトイレに通っている人がいるのは、こういうわけである。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670783 |