パンダ
【東京雑学研究会編】
§パンダはなぜ竹が好きなのか?
パンダが日本にやって来たとき、「竹しか食べないんだって」ということも話題になった。パンダという名前も、ネパール語で「竹を食べる者」という意味である。
なるほど、中国の四川省や甘粛省に生息している野生のパンダは、食べるものの九九%を、竹とタケノコが占めている。リンドウやサフラン、小さなネズミを食べたという記録もあるが、これは主食の竹が、よくよく少なくなったときのことと思われる。
ところがパンダは、学術的には、哺乳類食肉目パンダ科に分類されている。竹しか食べないのに食肉目とは、これいかに?
この分類は、歯の形や腸の長さによるものである。パンダは、その昔は肉食動物だったらしいのだ。
パンダの化石は、中国の各地で発見されており、かつてはもっと広い範囲で生息していたと思われる。しかし、人間が増えるにつれて生息域が狭められ、標高二五〇〇~三六〇〇メートルもの高さの、四川省の山奥などに追いやられたパンダだけが、竹を食べることによって生き延びたと考えられている。
つまり、本来は竹が好きだったわけではなく、それしか食べられない環境に置かれた結果、その食生活が受け継がれてきたのだろう。
筋だらけに見える竹だが、タンパク質や脂肪などの栄養分も、かなり含まれている。しかし、もともとは肉食動物だったパンダは、繊維質をあまりうまく消化できず、その分、たくさんの竹を食べなくてはならない。野生のパンダは、一日に一五時間も竹を食べ続けているといわれる。つまり、竹を食べる以外のことは、何もしないようなものである。
動物園のパンダの食事は、もっとバラエティ豊かである。主食はやはり竹だが、ほかにもミルクがゆ、リンゴ、ニンジン、サツマイモなどを食べている。竹よりも栄養価が高いので、食事は二時間ほどですみ、あとはごろごろしているという。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670781 |