鳥居①
【東京雑学研究会編】
§神社に鳥居があるのはなぜ?
神社の入り口や、参道には、必ずといっていいほど鳥居が立てられている。鳥居は神社のシンボルであり、神社の地図記号になっているほどである。
語源については、「通り入る門」が転化したもの、「鳥がとまり居る」ところなど、さまざまな説がある。
大和朝廷の頃の古代日本には、貴人が死ぬと白い鳥になるという、白鳥信仰があった。『日本書紀』に記されている、やまとたけるのみことの魂が、白鳥になって飛び去ったという逸話などが、その例である。
古代の人々は、鳥は祖先の霊であり、神々の使者でもある神聖な生き物であるから、神を祀っている神社には、鳥が休むところが必要だと考えたのである。
鳥居の基本的な構造は、二本の柱を立て、その上に二本の横木を渡すというシンプルなものである。上方の横木は笠木と呼ばれ、下方のものは貫と呼ばれる。
最も簡素な形式が「神明鳥居」で、垂直な二本の掘立柱と、笠木、貫の四本の素材は、すべて丸太である。
「鹿島鳥居」は、貫の両端が、柱の外に突き出したもので、楔が打ち込まれていることが多い。
最も多く見られるのが「明神鳥居」で、柱の下に台石があり、笠木の両端が反り返って反増となっている。素材は、スギ、ヒノキといった木材を皮付きのまま使ったもの、皮を削って白木にしたもの、朱塗りにしたもののほかにも、石、銅、鉄、陶などさまざまである。近年になると、鉄筋コンクリートのものも作られるようになった。
鳥居の上に、小石が乗っているのを見たことがないだろうか。これは、神の使いが鳥居に止まっているところを見ると、いい事があるという言い伝えからきたものである。実際に、鳥が鳥居に止まっているところを見る機会は少ない。そのため、石を投げ上げて、鳥の代わりにするということらしい。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670694 |