鳥①
【東京雑学研究会編】
§鳥は眠っているとき、なぜ木の枝から落ちないのか?
満員電車の中で、立ったままうつらうつら眠っている器用な人がいるものだが、鳥はもっと不安定な姿勢で、しかも熟睡できる能力を備えている。多くの鳥は、木の枝や電線に止まったまま眠るのだ。
しかし、眠りこけて枝から落っこちたりしないのだろうか? 人間ときたら、横になって寝ていてさえ、ベッドから落ちることがある。鳥だって、熟睡したらどうなるかわかったものではない。
だが、心配ご無用、鳥は落ちることはない。鳥は、足の指に特殊な構造の腱を持っている。この腱は、足の上部の筋肉とつながっており、それをひっぱると、指が自動的に曲がるようになっている。
木の枝で眠っている鳥を見ると、足を曲げてうずくまっているのがわかる。この眠りの姿勢をとると、自然に腱がひっぱられ、意識しなくても、指ががっちりと枝や電線をつかむことになる。
しかも、時々は片足を上げて、休めたりする余裕もある。おそらく、人間とは比べものにならないほどの、バランス感覚を有しているのであろう。
あらゆる生物は、長い進化の過程の中で、より生き延びやすいように、体の構造を変化させてきた。鳥が、木の枝や電線の上で眠るのは、そこなら天敵に襲われる可能性が、ぐっと減るからであろう。熟睡するたびに落ちているようでは、枝や電線で眠る利点は、全くない。
ツルは、大地に立ったまま眠るが、ふんばっているのは片足だけで、もう片方は折り曲げたまま。あの細くて長い足の一本だけで、大きな体を支えているのである。また、アマツバメは、飛びながら眠ることができる。
人間がそんな眠り方をしたら、疲労がたまって大変だろうが、鳥たちにとっては、それが最も自然な眠り方なのである。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670692 |