トランプ
【東京雑学研究会編】
§トランプの四つのマークにはどんな意味があるのか?
トランプを手にテーブルを囲んでいる家族や友人たちの集まりを目にすることは、最近では少なくなったように思えるが、老若男女を問わず、気の置けない人たちがお茶を飲み、おしゃべりを交えながら、ゆったりとカードゲームを楽しんでいる光景は、なかなかいいものである。私たちが普通手にするトランプのマークは、実にシンプルで印象的な模様である。これらにはどんな意味があるのだろう?
世界最古のカードは、トルコはイスタンブールのトプカプ宮殿に保存されている「マムルークカード」と呼ばれるもので、一四世紀頃作られたという。このカードの四つのマークは、刀剣、聖杯、貨幣、こん棒だ。カードという新しいゲームの歴史をたどってみると、正確な起源はわからないが、一四世紀末のイタリアを中心に、はじめて登場したといわれている。刀剣、聖杯、貨幣、こん棒という特徴あるマークは、中世ヨーロッパ社会の四つの階級を表している。刀剣は貴族や軍人、聖杯は聖職者、貨幣は商人、こん棒は農民というわけだ。
やがてこのゲームは、イタリアからスペインなど地中海一帯の国々へと広まり、さらにドイツ、オランダ、スイス、フランスなどヨーロッパ各地へ広まっていった。そして、この過程で図柄や呼び名が次第にシンプルなものに変化した。
例えば、ドイツやオーストリアでは、四つのマークは、心臓、どんぐり、鈴、木の葉を表し、スイスでは、花、どんぐり、盾、鈴を表していた。今日日本でもおなじみのマークは、フランスで生まれたという。そして、槍、心臓、教会の敷石、三つ葉を表すようになっていた。
フランス生まれのカードは、やがてイギリスへ渡り、四つのマークの呼び名もスペード、ハート、ダイヤモンド、クラブと変化していった。一六世紀後半のことであった。
イギリスからアメリカへと渡ったトランプは人気を呼び、大量生産され全世界へ広まった。カードのマークは正確にはスーツという。四つのマークは「インターナショナルスーツ」とも呼ばれている。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670691 |