酒
【東京雑学研究会編】
§お酒が凍りにくいのはなぜ?
ビールをケースごと買ったり、買い置きの清酒の一升ビンがあるとき、キッチンでは場所をとるからと、勝手口の路地に置いておいたり、ベランダに出しておいたりする家庭は多い。
それでも冬に、朝起きてみたら庭の水たまりが凍っているというようなときでも、ビールや酒が凍っているということは、普通の地域では考えにくい。同じ液体ではあっても、アルコール類は凍りにくいのである。
温度低下で水が氷になるように、液体が固体になることを凝固といい、その変化が起こる温度が凝固点と呼ばれている。混じりけのない純水の場合は氷点と呼び、これが摂氏〇度ということは誰でも知っている。
単純に一種だけの液体なら、その物質固有の凝固点で固体になるが、水以外の液体、あるいは水と液体との混合物である水溶液になると、この凝固点が下がるのが普通だ。このように、ほかの成分が加わったために固有の凝固点が下がることを、凝固点降下と呼んでいる。
純粋のアルコールである一〇〇%エタノールの凝固点は、マイナス一一四・五度とかなり低い。
水にアルコールの混じった液体であるアルコール飲料は、凝固点降下を起こし、水が凍っても酒は凍らないのだ。清酒は、普通でアルコール度一五くらいだから、アルコール分を一五%含む水溶液ということになり、その凝固点はマイナス七度くらいだ。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670382 |