最後の晩餐
【東京雑学研究会編】
§ダ・ヴィンチを悩ませた「最後の晩餐」のシーンとは?
イエス・キリストが、十字架にかけられる前夜、一二人の使徒たちと食事をともにしている場面で有名な「最後の晩餐」。
さてこの「最後の晩餐」は、レオナルド・ダ・ヴィンチが新約聖書から題材を得て描いた作品であるが、ダ・ヴィンチはこの一二人の登場人物をどのように設定するかで大変に悩んだようだ。
この一二人はイエスの直弟子であり、イエスはすでにこの中に自分を裏切ろうとしている者がいて、自分が捕らえられることを知っていた。
そこで、イエスは最後の晩餐でこの一二人を前に「この中に私を裏切ろうとしている者がいる」と発言した。それを聞いた一二人の弟子たちはいっせいに動揺する。
ダ・ヴィンチはまさに、この驚きの場面を絵に描きたかったわけだ。
しかしこの場面、実は福音書によってイエスの言葉に違いがあった。
これでは、いったいどれを採用してよいか、ダ・ヴィンチも頭を抱えてしまったらしい。
そこで、ダ・ヴィンチはそれらすべての説を使わず、最後の晩餐に準備された少しのパンとぶどう酒をテーブルに描き、あとは、イエスを売った代償で得た銀貨三〇枚が入った袋をユダに持たせてこの絵を完成させたのだった。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670369 |