昆布②
【東京雑学研究会編】
§昆布を食べると髪の毛が黒くなるというのは本当か?
グルメや飽食の時代と言われる昨今、食べものの種類も増え、楽しみも増した一方で、動脈硬化、高血圧、糖尿病など生活習慣病なるものも注目され、人々の健康への関心には並々ならぬものがある。
健康食品の中で、伝統的によく知られているのが、昆布である。昆布のうまみ成分のグルタミン酸は、脳細胞や神経系の発育や働きに良く、これを摂取していると、知的活動や思考力が高まるそうである。日本人は昔から昆布を食べる習慣があるので、頭が良くなったという説まである。
確かに昆布に限らず、ワカメ、ヒジキ、ノリといった海藻は、ビタミン、ヨード、鉄分、カルシウムなどが豊富に含まれているので、貴重な栄養食品である。
ところで、昆布の効用にまつわる言い伝えは多い。「物忘れをしない」「中風にならない」というあたりは、成分の科学的分析から見ても、根拠は十分あるようだ。
では、昆布を食べると、本当に髪の毛は黒くなるのだろうか? 頭髪の脱毛に悩んでいる人、いや、そうでない人の中にも黒髪を維持するために、昆布そのほかの海藻をよく食べる人がいるが……。
答えはNOである。海藻に含まれるヨードは、髪の毛に必要な成分ではあっても、それだけで髪の毛が増えたり、黒くなったりすることはないのだそうだ。昆布に、髪の毛の黒いメラニン色素を増やす物質は含まれていないという。
髪の毛にまつわる迷信が生まれたのは、昆布のあの黒々とした色から黒髪を連想したのではないかと、想像をたくましくするのみである。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670366 |