餃子
【東京雑学研究会編】
§餃子はなぜ三日月型なのか?
丸い皮に具を載せてはさみ、くしゃくしゃっと折り目を寄せて作るのが餃子。三日月型にでき上がれば、焼いても、蒸しても、ゆでてもおいしい。
見慣れたはずの餃子だが、よくよく見ると不思議な形をしている。皮と具さえ同じなら、ほかの形があってもよさそうなのに、日本じゅうのどこの店で食べても同じ形をしている。どうして餃子は、三日月型をしているのだろう。
餃子発祥の地は中国だ。二五〇〇年ほど前に、はるか西方からシルクロードを伝わってやって来た、小麦を粉にする技術が、麺類や饅頭ほか、多くの食品として開花した。
小麦粉を練って皮を作り、肉や野菜を混ぜた具を包む餃子もその一つ。長い歴史を経て三日月型に落ち着いた背景に関しては、二つの説がある。
一つは、清朝末期まで使われていた「元宝銀」という馬蹄形の銀貨をかたどったという説。
もう一つが、祭事のときに紙幣のように使われていた「元宝」の形を模したという説である。
いずれにせよ、お金に由来していることは間違いなさそうだ。
中国北部には、「春節」の日に、家族そろって餃子をたらふく食べる風習がある。
春節とは、古くは春の季節のことだったが、現在では旧正月を意味するようになった。別名を「過年」ともいうように、旧年の竈の神を送り、新年の竈の神を迎える祭りであり、中国では、一年じゅうで最もにぎやかな行事が繰り広げられる。
春節を迎える大晦日には、大掃除をした家に一族が集まって宴会を開き、子どもたちがお年玉をもらう。この日は夜通し起きているというのも、日本の習慣によく似ている。夜の一二時になると、戸外で爆竹を鳴らして、旧年の悪霊を追い払う。そして、お金に恵まれることを祈って、たくさんの餃子を食べるのである。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670251 |