業界用語
【東京雑学研究会編】
§大真面目なビジネスマンが叫ぶ卑猥な言葉
どこの職場でも、その職場あるいは職種ならではの隠語や略語があって、業界用語として仲間内では常識となっている。
景気低迷が続き、厳しい業態となっている証券マンの世界も、かつてのように電話口で各自が隣に負けじとどなり合うような光景は珍しくなったが、相変わらず隠語は健在だ。
朝から、まるで食事抜きだったかのように「ラーメン」とか「ミルキー」などと食べ物の名を言う者がいれば、「ヘトヘト」とくたびれたようなことを言う者もいる。これらは株の売買のとき、社名を長々と告げるのが面倒なために生まれた符丁だ。
「ラーメン」は、インスタントラーメンの生みの親「日清食品」のことで、「ミルキー」はその名前のキャンディがベストセラーである「不二家」を指す。
かと思えば、「おいらん」とか「ポルノ」などと、昼間から色っぽい名が飛び交うこともある。「おいらん」は「吉原製油」でかつての色街の名からとられた通り名であり、「ポルノ」はロマンポルノが一世を風靡した映画会社「日活」のことだ。
こうした符丁はもともと「日本精工」「日本製鋼所」といった名前が似ていて、間違いやすい企業名を「コメコウ」「アーム」のように、まぎれずはっきり伝わるように言い換えたものだったが、しだいにユーモアのあるもじり言葉なども使われるようになったようだ。
「相模鉄道」が「ジャリデン」、「大日本製薬」が「マルピー」、「旭化成」が「ベンベル」など、素人でも命名の由来を推測して楽しめそうなものも多い。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670250 |