カレー料理①
【東京雑学研究会編】
§カレー料理の本場はインドではない?
いまや日本の国民食ともいわれるカレーだが、本場といえばやっぱりインド。
かと思ったら、実は厳密にいうと、インドにはこれがカレーだという料理はないらしい。ではインドの人々にとって、カレーとは何なのか。
もともと「カレー」とは、タミル語で「ソースを作るときの水とスパイスの煮方」を意味する「カリー」に由来するという説が有力だ。
なお、タミル語を話すタミル族は、インドの最南端部とセイロン島北東部に住み、大野普氏によって日本との文化、言語の共通性が指摘されたことでも知られる。
いずれにしても、インドでの「カレー」は特定の料理を指す名ではなく、いろいろなスパイスを混ぜ合わせて使った水気のある煮込み料理全般をいう言葉なのだ。インドを訪れたヨーロッパ人が料理の名を尋ねたとき、ソースのことをきかれたのかと思ってインド人が「カレー」と答えたのが最初といわれる。
日本では「かれえ(辛い)」から「カレー」などというように、辛くて黄色っぽいカレーが一般的だが、インドでは辛くないのも黄色くないのもある。使う素材によってスパイスや調味料の種類や量を調節し、いわゆる家庭の味を作り出す。
本来は、カレーはこれがカレーだと一括りにできる性質の料理ではない。だが、いまはこの意味の「カレー」が逆輸入され、インドの人々も、これが外国人がカレーと呼ぶ料理かと理解しているのだ。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670219 |