カメレオン②
【東京雑学研究会編】
§カメレオンは死んだら何色になる?
トカゲの仲間で、樹上生活を送るカメレオンは、周囲の色に合わせて体の色を変化させる。
緑の葉の中にいるときは緑、褐色の枝の上にいるときは褐色といった具合にさまざまな色彩や斑紋に変わるし、光の強弱や温度の高低によっても、体色が濃くなったり薄くなったり、めまぐるしく変化する。
動くスピードがのろいカメレオンは、保護色に身を隠すことで天敵から身を守ることができるし、エサを待ち伏せして捕獲するのにも、都合がいいのである。
また、自然条件ばかりではなく、そのときの感情によっても体色が変わることがある。例えば、カメレオンのオス同士が出くわして、縄張り争いに発展しそうなときは、互いにじっとにらみ合うのだが、大抵の場合、体の小さいほうが怯えて、周囲の色にかかわらず、急に白っぽくなる。白っぽくなったほうはさっさと逃げ出すし、体の大きいほうも、それ以上追いかけたりはせず、不要な争いを回避できるのである。
また、体調がいいときは明るい色だし、体調が悪いときはくすんだ色になる。
もっとも、カメレオンは、自分で意識的に体色を変化させているわけではなく、周囲の状況次第で、自然に変化するのだと考えられている。
ところで、カメレオンは本来、何色なのだろう? 死んだときの色を見れば、わかるのだろうか?
だが、死んだときの状態によっても、体色が異なっているのである。光が当たっていれば、死骸は明るい色だし、暗い地面に落ちていれば、暗い色だという。また、死ぬときには、当然のことながら衰弱しているので、死骸はくすんだ色になっている。
そもそも、カメレオンには本来の基本色というのがないのである。大体は緑色、黄色、褐色などだが、一定してはいない。カメレオン自身も、自分が本当は何色なのか、わかっていないはずだ。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670212 |