風邪
【東京雑学研究会編】
§風邪にもいろいろな種類がある?
学校や会社を「風邪で休む」というのはよくあることだが、この「風邪」(感冒)という病名は正式なものではないのである。つまり、風邪という単一の疾患はない。正式な病名は、「風邪症候群」あるいは「風邪疾患群」という。
一般には、くしゃみ、鼻汁、鼻閉、咳、のどの痛み、しわがれ声などの呼吸器症状に、発熱、全身倦怠、頭痛、下痢、関節や筋肉の痛みなどが加わる、比較的軽症の疾患群のことである。
その原因はいろいろあるが、九〇%はウイルスの感染である。まずは、普通の感冒。俗にいう鼻風邪である。ごく軽微の発熱も見られる。ウイルスが原因なので、手指からの伝染に注意。
咽頭炎。のどの痛みが強い。発熱も普通の感冒より強く、悪寒、頭痛などの全身症状も見られる。原因はウイルス。プール熱や夏風邪もこれに入る。
インフルエンザ。流行性感冒とも言われ、インフルエンザウイルスの感染で起きる。突然の発熱、頭痛、悪寒、だるさ、咳、筋肉痛のほか、上気道、鼻腔、結膜に炎症が起こる。低温乾燥の冬がこのウイルスに最適の条件。もとは鳥だけが感染していたが、ブタを介し、人間にも感染するようになった。
インフルエンザウイルスが怖いのは、その恐るべき繁殖力。二四時間で、たった一個のウイルスが、一〇〇万倍に増える。しかも、変異する。A型が流行するというのでワクチンを作っても、次の年にB型が流行すれば、A型ワクチンは役に立たない。ウイルスの変異とワクチンの製造は、いたちごっこである。
ほかには、アレルギー性の感冒もある。
ウイルス感染による風邪症候群の根本治療法はない。休養と栄養を摂って、身体に抵抗力をつけ、予防あるのみ。うがいや手洗いは大切である。ガーゼのマスクは、ウイルスを遮断することはできないが、適度の温度や湿度でのどや鼻を守ることはできる。
風邪にかかった後、ほかの病気を併発しないよう、注意することも大切である。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670195 |