エアバッグ①
【東京雑学研究会編】
§車のエアバッグはどうして一瞬で膨らむのか?
最近はエアバッグを標準搭載している車が増えてきた。
エアバッグ装備の車に乗っていても、実際に自分の車のエアバッグを見たことがない人が大半だし、その恩恵に預かったことがない人も多いだろうが、エアバッグは事故が発生した途端、ものすごい素早さで自動的に飛び出し、あっという間に膨らむのである。その速度たるや、衝突の〇・〇一秒後にはエアバッグを作動させるかどうかの分析が始まり、激しい衝突だと認識するやいなや、その後わずか〇・〇五秒で作動し始めるのである。そしてエアバッグが膨らむまでの時間は、センサーが衝突を察知してから合計でたったの〇・一秒。驚くべき速度だ。
どうしてここまで素早く膨らむことができるのか?
エアバッグは、バッグ本体と、バッグを膨らませるインフレーター、衝突を感知する衝撃センサー、衝撃センサーが誤作動しないように見張る保護センサーで構成されている。衝撃センサーが察知するのは、事故の衝突そのものではなく「減速G」と呼ばれる重力である。車には慣性があるから、衝突していきなり車が停止すれば、前方に向かって重力が働く。これが「減速G」だ。人が衝突の瞬間にハンドルやフロントガラスにぶつかるのは、この減速Gが働くからである。
エアバッグのセンサーが事故だと判断すれば、エアバッグが開く。エアバッグはナイロンの袋でできていて、中にガス発生剤が入っており、コンピューターの指示を受けると、酸化剤と反応して窒素ガスが瞬間的に充満するのである。
一度開いたエアバッグは、元に戻すことは不可能で、ディーラーなどに取り替えてもらうしかない。つまりエアバッグは一回こっきりの使い捨てなのだ。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670093 |