運動神経
【東京雑学研究会編】
§運動神経は遺伝で決まるのか?
マリナーズのイチロー選手の華麗なプレーを観戦していると、「何てすばらしい運動神経!」と、うらやましくなる。それに引き換え自分の運動神経の鈍さにほとほとうんざりしている人も、けっこう多いのではないだろうか。これは遺伝だとあきらめている向きもあるかもしれない。
自分の運動神経の悪さを親や先祖のせいにしてはいけない。いや、その必要もないのである。なぜなら、運動神経の良し悪しは、遺伝とはあまり関係がないからである。
スポーツ万能の親から、動きのドンクサイ息子が生まれていることもあるし、運動の苦手な両親から、運動神経抜群の子どもが生まれることもあるのだ。要するに、運動神経は練習次第でよくなるという。
そもそも運動神経とは何か? それは、脳から出た運動に関する指令を、腕、足、手などの全身の筋肉に伝える神経の束である。若いときは太くて、神経伝達のスムーズなこの束も、年とともに細くなり、反応が鈍くなる。
大脳皮質の運動野から発せられた動きの指令は、脳の芯にあたる大脳基底核を経て、小脳、脳幹、脊髄へと伝わる。そして、指令は脊髄で、右半身、左半身に分かれ、手足に送られる。運動神経がいいというのは、この指令伝達のスピードの速いことで、これは先天的にそなわった能力ではないという。練習を重ねることで、反応がよくなるのだ。
スポーツ選手は毎日の練習により、大脳と末端の筋肉をつなぐ運動神経の反応速度に磨きをかけているのだ。
だから、運動は、身体だけでなく、脳や神経にもメリットがある。
「カエルの子はカエル」とあきらめず、いくつになっても運動により反射力、反応力を鍛え、若々しく健康に暮らしたいものである。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670091 |