その他の焼酎の基礎知識
【そのたのしょうちゅう】
これほどの原料がある焼酎に脱帽
さつまいも、麦、米、黒糖、タイ米(泡盛)を除く、それ以外の原料で造られた本格焼酎を、本書ではこの項で紹介する。なかでも最も歴史あるのが酒粕(粕取)焼酎だ。清酒を造った後に出る絞り粕をそのまま蒸留したものだが、発祥は17世紀といわれる。当時清酒どころとして知られた福岡県筑後平野で始まったといわれる。清酒蔵元では当然のごとく酒粕がつきものということもあり、瞬く間に全国に広まったようだ。現在では、清酒そのものを蒸留する焼酎も生まれている。
さらに、九州地方以外への仕込み法の伝播や麹の安定的な供給などによって、大正時代以降には、全国各地に穀類を原料にした多種多彩な焼酎が誕生。栗、人参、じゃがいもはもとより、カボチャやエンドウ豆、シソ、昆布、はては大根やクマザサ、牛乳に至るまでが用いられるほどである。
なかでも代表的な原料がそば。昭和48年に宮崎県で発売された「そば雲海」が始まりと歴史こそ新しいが、さわやかな味わいが評判となり、今では定番焼酎の一角に迫る人気ぶりだ。また、そばどころとして名高い長野県でもそばを醸す蔵元が増え、名産地の一つと呼ばれるようになった。
| 東京書籍 (著:監修:SSI(日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会)) 「焼酎手帳」 JLogosID : 8538607 |