【暦の雑学事典】5章 季語と年中行事の雑学 > 五月
初鰹
【はつがつお】

「目には青葉山郭公初松魚」(山口素堂)。初鰹が珍重されたのは近世になってからで、とりわけ江戸では高価なハシリのカツオを、女房を質に置いても買い求めるのが江戸っ子の粋とされた。
カツオは熱帯産の回遊魚で、黒潮に乗って太平洋沿岸を北上し、青葉若葉が生い茂り、ホトトギスの鳴く初夏の候に、伊豆半島や房総半島沖が好漁場となる。サオによる一本釣りで釣られたカツオはその日のうちに、飛脚によって江戸に届けられたというから高価になるのも当然である。
勝浦という町が、徳島県、和歌山県、千葉県にあるが、その地名はカツオ浦に由来するという。今日でも、カツオの水揚げの大半を占めるのは千葉県の勝浦漁港である。
![]() | 日本実業出版社 (著:吉岡 安之) 「暦の雑学事典」 JLogosID : 5040132 |