【暦の雑学事典】5章 季語と年中行事の雑学 > 五月
祭
【まつり】

俳句では祭は夏の季語である。かつて祭といえば、京都の上賀茂神社および下賀茂神社の葵祭のことを指した。葵祭は勅命(天皇の命令)によって営まれる勅祭であり、農村の収穫祭である秋祭とは起源も目的も異なる。
葵祭はもとは旧暦四月の中の酉の日に、現在は五月一五日に行なわれる夏祭である。夏は伝染病が流行したり食中毒を起こしやすい季節なので、勅命による祓・禊を中心とした夏祭が行なわれたのである。観光客でごったがえす京都の祇園祭(七月一七~二四日)も、疫神や死者の怨霊を鎮めるための祇園御霊会に始まる。
![]() | 日本実業出版社 (著:吉岡 安之) 「暦の雑学事典」 JLogosID : 5040134 |