【暦の雑学事典】5章 季語と年中行事の雑学 > 五月
卯の花腐し
【うのはなくたし】

卯の花を腐らせるような長雨のことをいう。旧暦四月を卯月というが、卯の花が咲くのは、五月下旬から七月にかけてであり、卯の花腐しの雨は旧暦四月の雨ではない。歳時記では春雨と梅雨の中間の長雨と説明している。同様に卯浪というのも、卯月の波ではなく、風によって立つ白い波頭を卯の花にみたてたものだ。
卯の花とはユキノシタ科の落葉低木ウツギ(空木)の花のことである。卯の花の咲く頃の曇り空を「卯の花曇り」という。卯の花のまばゆいばかりの白さが際立つのは、晴天よりも曇天や雨の日である。
![]() | 日本実業出版社 (著:吉岡 安之) 「暦の雑学事典」 JLogosID : 5040136 |