双六の上手といひし人にその手立を問ひ侍りしかば「勝たんと打つべからず負けじと打つべきなり」
双六(すごろく):昔の盤遊戯の一つ。さいころを振って駒を進め、早く相手の陣へ送りこむことを争うもの
【名言名句】
双六の上手といひ
し人にその手立を問ひ侍りしかば「勝たんと打つべからず負けじと打つべきなり」
【解説】
ある人が、すごろくの上手な人に、勝つ秘訣を聞いたときの返事。つまり、勝とう勝とうという気持ちばかりで打たず、なんとか負けまいと思って打て、という答えだった。
勝つことにこだわりすぎると、かえって負けることがある。あらゆる勝負に通用する教訓であろう。
この言葉のあとに兼好は、自分の品行を整え、国家を安泰に維持していくにも同様だと説く。
【作者】吉田兼好
【生没年】1283頃~1353頃
【職業】随筆家
【出典】『徒然草』
【参考】『徒然草』は吉田兼好がつづった序段と二百四十三段からなる随筆集である。それぞれの段は独立・完結しており、社会や人間生活の諸問題、自然の風物や情趣、教養や趣味、有職故実などについて書かれている。いずれも、鋭い観察眼や批判精神がうかがわれる。
| あすとろ出版 (著:現代言語研究会) 「名言名句の辞典」 JLogosID : 5450670 |