良いことばかりは 悪すぎる
【名言名句】
良いことばかりは
悪すぎる
【解説】
サッカーは読み合いのスポーツだ。右にくるかと読んだ攻撃が突然左にきたら、守備側は驚く。その「驚き」が守備組織のバランスを崩し、攻撃側は決定的なチャンスをつかむ。これぞサッカーの醍醐味である。一九八〇年代のフランス代表はこの面ですばらしいチームだった。ある試合でフランス代表が次から次へと驚きをつくり、観客を熱狂させるのを見た、と大住はいう。相手チームは右往左往するばかり。ところが、時間がたってもなかなかゴールが生まれない。よく見ると、フランスが攻撃のたびに驚きを作り出すので、相手チームは読みの逆をつかれることに驚かなくなっていたのだ。もしフランスが平凡なプレーを繰り返し、そのなかに時折驚きを入れたら、相手の守備組織は簡単に崩壊し、五点でも六点でもはいっただろう。しかし実際には、フランスは勝ったものの1-0。得点はPKによるものだった。良いことを際立たせ、効果的に使うには、良いことだけをしようとしてはいけない。平凡なことにも重要な意味があるのだ。
【作者】大住良之
【生没年】1951~
【職業】サッカー・ジャーナリスト
| あすとろ出版 (著:現代言語研究会) 「名言名句の辞典」 JLogosID : 5450669 |