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東洋医学のしくみ6章 東洋医学の現状と将来 >

東洋医学の提案
【とうよういがくのていあん】

よりよい東洋医学に向けての提案

漢方薬を医薬部外品に!
 東洋医学の専門学校では、生徒数が年々増加する傾向にあります。とりわけ、2000年ごろから急増した鍼灸学校では、それ以前と比べて卒業生の数が倍になっています。当然ながら鍼灸院も増えることになり、料金の差のほか、サービスにも差が出てくることになるでしょう
 利用者にとって、価格やサービスの競争は望ましいのですが、よりよい治療のためには、鍼灸と漢方薬を併用した総合的な治療のニーズ高まるに違いありません。
 しかし実際は、そう簡単にはいきません。厚生労働省は個人輸入という、法の網をくぐったような方法での漢方薬の使用を認めており、多くの人が高額な代価を払って、中国や香港などから送られてくる漢方薬を服用しているというのが実態です。
 そこで、利用者がそうせざるを得ない現状を解決するための提案として漢方薬を医薬部外品にするという方法があげられます。
 一部の劇物が含まれるようなものは別にして、一般の漢方薬を医薬部外品扱いにして、鍼灸院でも販売できるようにするのです。そうすれば、通院が不可欠な針治療から、経過によって自宅での漢方薬治療に切り替えるという方法を、同じ治療者のもとで行うことが可能になります。

スペシャリスト養成機関の充実
 人材育成の面からも提案があります。東洋医学の立場から見て、総合的な東洋医学の知識を持った信頼できる医療人が少ないこと、またその対応の遅れは大きな問題といえます。
 前述したように、文部科学省は医学部のカリキュラム漢方薬取り入れました。しかし、習得に時間のかかる現代医学の片手間に東洋医学を教えたのでは、患者の真のニーズに応えられる東洋医学者が育つはずがありません。
 やはり中国やアメリカを見習う限り、スペシャリストを養成する学校が必要でしょうせめて、医学部の中に東洋医学学科でも設置すべきではないでしょうか。そのうえで、国家試験にも中薬や方剤の内容が出題されることが望ましいと考えます。

◆混合診療の認可を
 最後に、制度上の問題を解決するもっと現実的な対策として、混合診療について触れておきます。
 混合診療とは、一つの疾患を診療するときに、同じ病院内で保険診療と自由診療を併用することをいい、05年4月現在で禁止されています。ただし、高度先進医療に関しては限定的に認められており、対象となる医療技術の拡充も検討されています。
 鍼灸治療では保険対象となる疾患が少なく、加えて鍼灸の保険点数が低いこともあって、病院で鍼灸師を雇おうとしてコスト的に見合いません。そのため、研究などの名目で国や自治体から補助金が降りている一部の病院を除いて、病院内で針治療のできるところはごく少数です。
 保険点数を上げれば病院経営的にはよいのですが、社会的には医療費削減が叫ばれている中では難しい問題です。そこで、解決法を混合診療に求めたいのです。
 たとえば、ひどい腰痛で保険診療をしている整形外科を受診したとします。患者側の立場でいえば、まず外来でレントゲンなどの検査や薬の処方をしてもらい、つぎにその医師と鍼灸師が連携して、その場で自費による針治療を受けられるようにするのです。これが現状では、すべて自費(レントゲンと薬も)ならいいのですが、同じ病院内で保険と自費を混ぜると違反になるのです。
 また、混合診療は東洋医学の立場からもメリットがあります。多くの病院が鍼灸外来の日を設けて、鍼灸師に病院に来てもらうようになれば、客観評価によって鍼灸師の技術向上にもつながるでしょう




日本実業出版社 (著:関口善太)
「東洋医学のしくみ」
JLogosID : 5030106


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 日本実業出版社「東洋医学のしくみ」

出版社:日本実業出版社[link]
編集:関口善太
価格:1,620
収録数:115
サイズ:20.8x14.8x1.6cm(A5判)
発売日:2003年7月
ISBN:978-4534036179

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