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東洋医学のしくみ1章 東洋医学の概略と必要性 >

中医学
【ちゅういがく】

中医学の起源と発展の経緯

 本辞書は「東洋医学」の本ですから、ことさらに「中医学」という言葉を使うのは読者にとって混乱のもとになるかもしれません。しかし、これまでは中国での事情などをスムーズに説明する必要から、中医学または中医という言葉で解説してきました。
 後述するように、たとえば中国では、現代医学と中医学のいい部分を合わせる「中西結合」という施策がとられています。安易に東洋医学という言葉に置き換えてしまうと「中西」の意味が判然としなくなってしまいます。まさか「東西結合」と呼び替えるわけにもいきません。

中医学暗黒の時代、そして復興
 中医学の歴史は非常に古く、『黄帝内経』の編集が紀元前200年頃の前漢時代、そのさらに500年以上も前の春秋時代に、すでに鍼灸治療が行われていたともいわれています。
 このように、三千年という長い年月の間をかけ、経験と知識を積み上げて中医学ができあがってきたのですが、現代に至るまで必ずしも順調に発展してきたというわけではありません。日本の漢方と同じように、現代医学の台頭の前に過去の遺物的扱いを受けた時期があったのです。
 その時代を具体的にいうと、中国最後の王朝となった清が民主化運動によって倒され、孫文らによる共和制の中華民国が建てられた辛亥革命(1911年)から、今の中華人民共和国になる1949年までにあたります。このわずか40年足らずの間に中医学は凋落し、中医と呼ばれる医師たちは治療することが許されなくなってしまったのです。
 中医学に再び光が当てられるようになったのは1950年代になってからのことで、とくに1966年から毛沢東が押し進めた文化大革命は、大きなエポックになりました。
「伝統医学の復興」という号令のもとに、各地に中医学教える大学が作られ、さらには中医学と現代医学を両立させる(中西結合)体制も国の政策として制度が整えられていったのです。

◆現代医学と中医学を併用
 今の中国には、日本の医科大学と同じように現代医学を教える医科大学があり、それと並んで中医薬大学があります。
 中国の医科大学では現代医学に加えて中医の理論や実践も学び、中医薬大学でも中医学とは別に、現代医学の基礎も学ぶというシステムが導入されています。学校を卒業すれば、どちらも医師としての平等の資格を得ます。
 医療機関についても、日本と同様の現代医学の総合病院のほかに中医の総合病院があって、その中には中医の内科、中医の小児科、中医の産婦人科、鍼灸科などがあります。現代医学と中医の両方を兼ね備えた病院もあります。そのような病院では、中西結合も盛んに研究されています。




日本実業出版社 (著:関口善太)
「東洋医学のしくみ」
JLogosID : 5030038


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 日本実業出版社「東洋医学のしくみ」

出版社:日本実業出版社[link]
編集:関口善太
価格:1,620
収録数:115
サイズ:20.8x14.8x1.6cm(A5判)
発売日:2003年7月
ISBN:978-4534036179

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