ヘリコプター
ヘリコプターのアイデアは、ルネサンス期の芸術家・科学者のレオナルド・ダ・ビンチにあるという。竹とんぼと似ているが、その構造は複雑だ。
ヘリコプター(helicopter)とは、「螺旋(らせん)」を意味するhelix(ヘリックス)と「翼」を意味するpteron(プテロン)の二つのギリシャ語の合成語だ。
離着陸に滑走路(かっそうろ)が不要ですぐに目的地に人や物を運べるため、災害時などに強い味方になる。
ヘリコプターにはさまざまな種類があるが、大きく二つに分けられる。
推進力を得るための回転翼よく(メインローター)が一組のシングルローター方式と、二組のツインローター方式だ。
ヘリコプターが飛ぶ原理は竹とんぼと同じというが、大きく異なる点もある。
前者は機体本体が回転しないのに対し、後者は全体が回転するということだ。
機体本体が回転しては乗り物にならない。
そこで、回転翼が生む回転力を打ち消す工夫が必要になる。
シングルローター方式の場合は、尾部に回転力を打ち消すための工夫が施(ほどこ)されている。
テールローター式と呼ばれるヘリコプターでいうと、尾部に小さな回転翼(テールローター)を取り付け、この推進力でメインローターによる機体回転力を相殺(そうさい)しているのだ。
一方、ツインローター方式では、二つの回転翼の回転方向を逆にしている。
ところで、ヘリコプターが前後左右自在に飛び回れるのはなぜだろう。
このしくみを、シングルローター方式のヘリコプターで考えてみよう。
ヘリコプターを前進させるには、機体を前に傾ければいい。
メインローターの推進力の一部が前方に進む力に充当されるからだ。
また、右に旋回(せんかい)させるには、機体を右に傾ければいい。
ローターの推進力の一部が右に進む力に充当されるからである。
機体を傾けるときに利用される装置は、スワッシュプレート(「斜板カム」と訳される)である。
このプレートを傾けることで、メインローターの推進力に不均衡(ふきんこう)を生(しょう)じさせ、目的の方向に機体を傾けるのだ。
例えば、前進したいときには、このプレートを後ろに傾ける。
すると、前方の回転翼の推進力が後方よりも弱くなり、機体が前に傾く。
こうして、前進することができるのだ。
【執筆・監修】
中経出版 「雑学科学読本 身のまわりのモノの技術vol.2」 JLogosID : 8567119 |